ビバ熊本!!

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アルト
志村美土里

こんにちは、熊本の郷土料理「一文字ぐるぐる」と「太平燕(タイピーエン)」をこよなく愛する東混アルトの志村美土里です。

今年の4月14日(と、それ以降)熊本で起こった地震を知った時、日本中どこでも大地震が起こる可能性がある、と頭ではわかっていたものの、本当に驚き、その被害の大きさに言葉を失いました。

私たち東京混声合唱団は、文化庁の学校公演などでこれまでに何度も繰り返し九州、特に熊本を訪れています。
美しい姿の熊本城、活気ある商店街、雄大な阿蘇の山なみ、元気な歌声の子どもたち。
楽しい思い出が沢山ある熊本。
テレビからは悲しく辛い光景ばかり。
皆さん、どうか、どうかご無事で、と祈ることしか出来ませんでした。

今年の年間計画の中には『8月28日 熊本県芸術文化祭』。
「これはさすがに中止になるのでは…」とメンバーで話し合っていたところ、マネージャーから「この演奏会は絶対に実施します!と電話が来ました!」とのこと。
熊本からの力強いメッセージ、しかと受け取りました。でも……本当に私たちが行って良いのか?現地の状況的にご迷惑をおかけするのでは、と不安な気持ちも正直ありました。
こうなったら、とにかく行くしかありません。

さらに、7月末に熊本県山鹿市にて児童合唱団とのワークショップとミニコンサートが行われるとのご連絡。
そのときのことは熊谷さんのブログにて。チームくまモン
明るく迎えてくださったスタッフの皆さんと、とにかく美しい子どもたちの歌声に感動………

そして8月28日。地震後のリニューアルオープンを果たしたばかりの熊本県立劇場にて『ヤマカズが贈る 新・合唱』が行われました。

東京混声合唱団によるシアターピースを中心としたアカペラ作品によるプログラムは、満席の大ホールの中に響き渡りました。
・五木の子守唄
・萬歳流し
・コンダリラ
・汽車
・HONDA CIVIC CHOIR
・ガムラン

人間の声の可能性を体感して頂く、絶妙なプログラミングとステージングにより、東混初体験の皆さんにも興味深く聴き入って頂けたようです。

そして後半のステージでは、児童合唱組曲「くまモン」の初演。
地元の子どもたち180人で結成された「芸文祭少年少女合唱団」と、この作品の生みの親である、作曲家 森田花央里さんのピアノ、ヤマカズさんの指揮、そしてスペシャルゲストは、もちろん正真正銘ホンモノの(笑)くまモン!!

今回初演された児童合唱組曲「くまモン」は、
熊本愛と元気と癒しのヒーローくまモンをテーマにした、オモチャ箱のような非常に楽しい作品として完成していました。
本番では子どもたちとヤマカズさんとくまモンが三位一体となり、ステージ狭しと踊りながら歌っていました(いつか私たちも一緒に歌いたい)……!!

その後は、「芸文祭合唱団」と「芸文祭オーケストラ」の皆さんと東京混声合唱団との共演による「土の歌」。

さて、この「土の歌」を演奏するためにステージに立ち、客席を眺めた瞬間、なんとも表現し難い、溢れるような温かいエネルギーがこちらへ向かって流れ込んで来るのを感じました。
(直前のくまモンパワーで、客席が文字通り「最高潮にあったまっている」状態だったからかも知れませんが…(笑))

演奏者にも聴衆にも生々しい地震の記憶があるなかで、私はどんな気持ちでこの「土の歌」を歌うべきなのか?と、直前までは怖さと迷いがありました。
しかし、ステージに立ち、客席からのエネルギーを感じた瞬間、そんな雑念はサーッと引いて、ひたすら音楽に身を委ねて歌うのみでした。
気づけば終曲の「大地讃頌」の最後の音。

アンコールでは、爽やかな気持ちで「Look at the world~世界はたからもの」を歌いました。
手を繋ぎあって歌う子どもたちの背中、神々しかった……

天災やさまざまな出来事によって翻弄される私たち、物理的には非常に弱い存在である人間の、それでも前を向いて歩み続ける強さを、そして美しい音楽を求める心を、この日確かに熊本で感じました。

熊本県立劇場のステージで私たちが包まれた温かい空気、一生忘れません。

ビバ、熊本!!

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