コンダクターインレジデンス 水戸博之さん

2015.7.25
北海道六花亭 ふきのとうホール オープニングティバル
東京混声合唱団札幌公演
指揮者 水戸博之さんインタビュー
本日は、六花亭 ふきのとうホール オープニングフェスティバルにお呼びいただきました。
こちらは、2015年7月5日OPENの六花亭札幌本店、地上10階地下1階建ての新ビルの6~8階に室内楽専用ホールとして新しく誕生したホールです。

それでは早速、指揮者水戸博之さんインタビューをどうぞ!

渡辺)水戸さん今日はよろしくお願い致します。
水戸)よろしくお願いします。
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渡辺)たった今リハーサルを終えたところですが、いかがですか?
水戸)そうですね。まずホールが素晴らしく音響が良くて、合唱がこんなにまとまって、頑張らなくても吸い込んでくれるっていうのは、僕はあまり経験したことがないタイプの響きだったので、その中で演奏できる喜びっていうのを感じたので、本番どんな感じになるのかなって、今から楽しみです。
渡辺)オープンしたばかりのホールですが、リハーサルをしていく中で、我々の声とホールが響き合ってくるというか、とっても良いホールだと感じました。
水戸)ほんとにそうですね。けして大きいわけでもないし、特殊な何かがあるようには見えなかったんですけど、持ってる音っていうのか・・・ちょっとびっくりするくらいすごくいいホールができたなぁと。

渡辺)水戸さんは北海道は江別市のご出身と伺いましたが江別って、ここ札幌からだと・・・
水戸)そうなんです、江別はここから電車で15分くらいです。
渡辺)わぁ、地元って感じですね!!地元での演奏会ってどうですか?
水戸)最初は、こう・・何って言ったらいいのかな、こう・・帰省というか、ほっと息をついて安心して迎えられるのかなって思ってたんですけど、いざ来てみると・・なんなんですかね地元のプレッシャーっていうのをね・・・僕、予想だにしてなかったんですけどね。感じます(汗
渡辺)活躍されてるから余計にプレッシャーが?(笑
水戸)目に見えない何かが?!あるのかもしれませんけど・・・(笑
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渡辺)東混のコンダクターインレジデンスになられて一般公演でご一緒するのは初めてですね?
水戸)そうなんです。一般公演は初めてです。文化庁の公演はありましたけども。

渡辺)ここ(札幌)から電車で15分の江別市出身の水戸さん、子供時代のお話って何か聞かせていただけますか?
水戸)はい、ええと、僕は北海道の江別というところで生まれて、高校を出るまで18年間ずっとそこで生まれ育ったんですけど。音楽は、親父がすごく弾ける人で・・4歳からピアノを地元の先生の下ではじめて。でもまぁ、いわゆるピアノ一辺倒でやるのではなく、親父に札幌の札響(札幌交響楽団)の演奏会とか、札幌に来る来日演奏会とか多分ほとんどすべて聴きに行ったりとかしてて・・・
渡辺)すごい、お父様、音楽大好きでいらっしゃるんですねー!!
水戸)ああもう、大好きで大好きで。色々な音楽を聞かせてもらったっていう経験を積んできて、特にオケが多かったですね。普通、小さいころからピアノやってると、ピアノの演奏会ばかりに行きがちですけど、ピアノだけの演奏会とかにはほとんど行かなかったですね。

渡辺)高校を卒業されるまでは、部活とかいろいろ・・どんな風に過ごしていらっしゃいましたか?
水戸)ううん・・・いろんな事をやりまくってたっていうのか、好奇心旺盛というのか・・だから時期によって、卓球ばっかりやってるときとか、かと思えば山登りばっかりしてるときとか・・本も読んでます。小説とか色々、東野圭吾とか、古典から現代、外国から日本から、本読むのは昔から好きですね。

渡辺)突然ですが、ここで、本日団員からソプラノの木村眞弥さんにもインタビューにお越し頂きました。木村さんは今回のプログラムの中のペチカでソロを担当なさっています。この林先生の編曲ではソプラノのソロが8割を占めていて大変ですよね?
木村)はい、そうなんです。

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渡辺)全体での練習が終わった後、水戸さんとマンツーマンでお稽古されていましたけれど、いかがでしたか?
木村)・・・ええっと・・
水戸)僕が指揮をやる上で一番大切にしたいなって思ってることは、自分がやりたいことだけをお願いするんじゃなくて、相手にとってやりやすいというか、相手がやりたいことをスムーズに実現する手助けができる指揮者になりたいなって思ってるんです。そのためにはどういうことを考えているかとか、歌う上で何を注意してるかとか、演奏者の思考だったり生理的な運動だったりっていうことに近づきたいなっていう・・
合唱ですと集団ですから、集合点を見つけていければその方向で作っていくことが出来ると思うんですけど、ソロの場合は一対一で対話みたいなところがあるので、そのソロの人のことをよく知るためにはやっぱりどっかで、一対一で対話して近くで聞いてっていうのが僕には必要かなって思って、お時間いただいたんですけど・・・。

渡辺)どんなお稽古をされたんですか?
木村)歌い方が変わりましたね・・・。最初はなんだか躊躇しちゃてて、合唱に合わせなきゃ合わせなきゃって思いがあったんですけど、それを解き放ってくれたっていうか、自由に歌ってくれていいんだよって
水戸)楽になった?
木村)楽になりました!すごく歌いやすくなりました。
水戸)良かった。
木村)引っ張るところは引っ張ってくれるし、やりたいようにやらせてくれるところは、・・こう放してくれるし、すごく歌いやすいです。

渡辺)ホールで歌った感じはいかがですか?
木村)ホールはすごく響きが豊かで助けられる感じでしたね。
水戸)ゲネプロすごく良かったと思います。なんかこう、引っ張られるエネルギーみたいなものが今日はあったなぁと思って、ソロから光を出してくれると、それを僕らが受け取ってサポートしようっていう、言葉を介していない中でも会話ができて、目指すべき方向性が見えたような気がして僕はとても嬉しかったです。本番が楽しみです。

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渡辺)本日のプログラムについてはいかがですか?
水戸)なんか言い方が変かもしれないんですけど、一曲一曲がほんとにすごくこう、シンプルというか洗練されているというか、宝石箱を開けたかのような美しい曲が並んでるなって感じて、なんといっても林光先生の曲がたくさん取り上げられているっていうのが、最大の特徴だと思うんですけど。僕は林光先生にお会いすることなく東混にきてるんですよ。東混との演奏会には一回行ったことがあって、八月のまつり、2008か9か、でも結局、お話ししたりいろいろなことを教わることができずに終わっちゃったのは、すごく残念だなっていうふうには思います・・・

渡辺)そうですか・・でもその分、私たち団員たちは何十年とご一緒させていただいてきているのでそういった我々の演奏や経験からも何か感じていただいて・・なんていうかお互いに学びあっていければいいなぁって・・
水戸)ほんとその通りで、なんかね、今回このプログラム、東混にとってはレパートリーでもう何十年も歌い継いで来た曲ばかりのものを、自分がほとんど、はじめましての状態で振ったときに、その、なんて言ったらいいんですかね。僕が何も言わずとも、こうでしょって示してくれるものってすごくあって、楽譜には書いてない微妙なニュアンスだったり、言葉の歌い方だったりっていうのが必ず一つの曲に1個2個3個とあるんですよね、それは僕が勉強してきたとか、いろんな曲を聴いてきただけではわからなかったりとか、思いもつかなかったようなことがその中には結構あったりして、そこにすごく東混の伝統というかもうお亡くなりになられた林光先生の声が聞こえたような気がして。なんかすごく感動的だなって思いました。
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今年から東混のレジデンスに迎えていただいて、レジデンス水戸博之として何ができるんだろうってことは、やっぱり考えるわけですけど、僕の場合は北海道にいたとき、大学入るまでというか入ってからというか・・実はあんまり合唱ってものに触れてこなかったんですよね。吹奏楽部に入っていたりとか、器楽人間だったんです。歌は好きなんですけど、深い関わりが合ったわけではなくて、だからある意味で合唱のことを知らない状態なわけですよ。だけれども、今なんとか知ろうと、頑張って自分なりに勉強していかねばなって思っているんですけど、レジデンスとして思っているのは、合唱を専門に勉強してきたとか歌をずっとやってきた人には見えない楽譜の見え方、器楽をずっとやってきた人間が自分の知らない領域である合唱というものに出会って、自分が持っているものにプラスして合唱を理解しようというアプローチの仕方っていうのは、うまくいけば他にはない向き合い方ができるんじゃないかと思ってて。今まで合唱に触れてこなかったっていうのをネガティブにとらえるのではなくて、人とは違う見方で合唱と関わることが自分の場合はもしかしたら出来るのかもしれないって思って、そのやり方自分のスタイルを持ちつつですよ、持ちつつ、さっき言った東混の持っている伝統というのか、伝えられてきているものとをうまくバランス良く融合することが多分一番大事だと思うんですよ。俺がこう思うからこうだ!って今まであったものをぶち壊してもやっぱりダメだと思うし、自分はやってないからっていって全部東混にお任せして、僕はついていきますっていうのもダメだと思うし。自分の味と東混の味っていうのがなんとかミックスできたときにはじめて一つの料理になれるのかなぁっていう。
渡辺)はぁ~(ため息)、なんだかロマンチックで熱いお話ですね・・・
水戸)大丈夫ですか?こんなんで(笑
渡辺)めちゃくちゃいいです!

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渡辺)ピアニスト寺嶋陸也さんとの共演についてはいかがですか?
水戸)いやぁ、もうなんか、言葉にできない・・・嬉しいの一言です。
握手できただけで涙が出そうな、そういう人じゃないですか!・・・・・・。言葉にならない・・・。胸いっぱいです、幸せです!!

渡辺)本番への意気込みをお聞かせください。
水戸)北海道で、しかもチケットは完売で満員のお客さんに見守られた中で、東混、林光先生の曲を寺嶋さんがっていう、このすべての要素が自分にとって幸せ以外のなにものでもない、こんなに有難い機会をいただけるっていうことが何にも変えがたい喜びであるっていうことがすべてです。この嬉しさをすべて演奏に託して、集中して最後までできたらなと思います。

渡辺)最後に、六花亭のお菓子でお好きなものは何ですか?
水戸)六花亭のお菓子大好きです!僕のお勧めは、イチゴにホワイトチョコの掛かった、ストロベリーチョコです!(笑顔


リハーサル直後のお忙しいお時間だったにも関わらず、こんなに素晴らしいお話をしてくださいました。水戸さん木村さんどうも有難うございました!!

インタビュアー 渡辺ゆき
特別ゲスト 木村眞弥
カメラマン 渡邉隆寛

このコンサートの内容はこちら。
六花亭ふきのとうホールオープニング

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