「八月のまつり」寺嶋陸也さんインタビュー第2回

公演

8月7日(金)勝どき・第一生命ホールにて「東混・八月のまつり36」がありました。
「八月のまつり」は、林光作曲「原爆小景(詩・原民喜)」 の演奏を柱としたコンサートシリーズです。
「まつり」に長くたずさわり、委嘱曲「予兆」の作曲、そして指揮とピアノを引き受けてくださった寺嶋陸也さんに、練習の合間をぬって、いろいろお話をうかがいました。
コンサートはすでに終わってしまいましたが、「八月のまつり」を振り返りましょう。
第2回の今回は、先のコンサートで演奏された寺嶋2作品についてお話頂きました。
「花筐(はながたみ)」の誕生について。
委嘱作品「予兆」の、団員がちょっと驚いた話!

*今回演奏した「花筐(はながたみ)」について*

寺嶋(以下寺):今回は新作の他に「花筐(はながたみ)」(作歌・良寛)という曲をやります。これは楽譜にそんなこと書いたりはしませんでしたけど、2012年1月に光さんがお亡くなりになったんですが、この曲は春に作曲して8月の初演で、僕の気持ちとしては、花を集めて光さんにお供えしようっていうような気持ちでした。それとは別に、たまたまその頃、別の曲でも良寛のテキストを使ったものを作ってたんですけれども、良寛の生き様を見ると、現代人の欲望っていうものを考え直さなければいけないのではないか、という風なことを考えさせられました。今回これをプログラムに入れることができたのは、大変嬉しいです。
高橋(以下 高):林先生追悼の「まつり」は2012年でしたね。
寺:そうですね。2012年はとにかくどうしようかってバタバタしてて。山田和樹さんが振ってくださって、原爆と抒情歌は僕がやってっていう流れだったんですけど。

高:そうでしたね。
寺:その翌年、僕に「お任せしますから」って言われて。本当はその時に「花筐」をやりたいと思っていたんですが、「もうじき春になるだろう」(詩・城左門/曲・山田和男/編曲・林光)とかね、そういうのが入ってて、なんかこう、似た感じの曲がならぶ印象がある、と小林さん(東混事務局)がおっしゃったんでこれはやめて、自作の曲は、戦争にも関係の深い「ふるさとの風に」(詩・竹内幸三)を入れました。

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*寺嶋さんへの委嘱は実は*
寺:「予兆」(詩・木島始)は今回のために、初めて東京混声合唱団から委嘱を受けて作曲したものです。
高:えっ!初めて?
好田(以下 好):初めてなんですか?
寺:初めてなんです。

好:あれ?知らなかった。当然のように寺嶋さんの曲はいつも歌ってたから。
高:なんどか曲は「まつり」で歌ってますよね?
寺:「まつり」では、光さんが僕の曲を取り上げてくださったんですけど、東混から依頼を受けたことは一度もなくて。

好:東混で初演ていうのはあったけれども?
高:委嘱ではない?
寺:林光の委嘱っていうのはありましたけども(笑)

高:そうなんですか!
寺:「八月のまつり」でやりたいから、曲書いてって言われて書いたことはあります。それは光さんからの委嘱ってことで、光さんから作曲料を頂いて(笑)

高:じゃあ、直接東混からの委嘱は今回が初めて?
寺:初めてなんです。小林さんからは「今まで頼んでなかったんだね、ごめんね」とか言われましたけど(笑)

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*委嘱作品「予兆」*
高:「予兆」の作曲は松本で?(楽譜の最後に「26,?,2015 松本」と書かれている)
寺:僕はどこで完成したかってことをいつも記してるんですけど。だいたい下書きを作っておいて、旅先で仕上げを。旅先だとまとまった時間が取れるので、それで清書するっていう。これはねえ、締め切りが5月30日だったんですけど、ちょっとあわてて書いたもんで。えーとね、1曲目の途中までは別の日だったんですけど、あとね、一気に書いちゃったんです。それでだんだんだんだん目がおかしくなってきちゃって。だから消しゴムで消してもそれが残ってたり。

好:ソプラノに書いてみたけどアルトに書き直してみたり、とか。
寺:だからみなさんにご迷惑をおかけして、恥ずかしいんですけども。

好:いえいえ!作曲の形跡がわかっておもしろいです。
寺:皆さんに歌っていただいて、すごく光栄です。

好:歌い甲斐のある曲ですね。和音が、1小節の間でもころころ変わってるじゃないですか。なかなかついていくのが大変なんです。
<続く>


まだまだインタビューは続きます。
次回は作曲家としてのちょっとした本音や、外から見た東混の姿などを語ってもらいました。
次回もお楽しみに!

寺嶋さんインタビュー第1回の記事はこちら。

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