東混の白いドレス

思い出

ソプラノ、東混衣裳係

好田真理


東混の女声衣裳は植田いつ子先生のデザインである。

植田いつ子先生は、上皇后(当時は皇太子妃〜皇后であられた)美智子さまのお召し物のデザインを長く務められたデザイナーである。
あの、お美しく品のある美智子さまのお召し物と同じデザイナーの作品!
それゆえ東混の女声衣裳についてもお客様から品があると言っていただくことも多くある。
これは、一流の奏者を目指すなら着るものも一流でなくてはならない、という創設者田中信昭の信条かららしい。
おかげで大変良いものを長く使うことができている。デザインも時代に流されず良いものであるから、これからも大切に、衣裳に見合った良い演奏を心がけていこうと思う。

金ラインの上着は、15年ほど前に制作された。中央が筆者 ©︎中村紋子

今東混が主に着ているのは、白地ドレスに金のラインが施された上着のセット。これはサントリー音楽賞の受賞を機に制作された。
それまでのドレスと同様に、その時も植田いつ子先生のアトリエに制作をお願いした。

植田いつ子先生のアトリエは、主にオートクチュールの仕事をされるところである。
しかし、東混女子20人弱とさらに予備ドレス。
サイズ違い同一ドレスを作るというのは、普段と違ってなかなか大変なことだったらしいと聞く。
型紙から起こして仮縫いで合わせたら、胸や胴周りが大きくて合わないとか(歌い手あるある)、これと思う生地を見つけても20着分は無いとか(大量生産の生地ではないらしい)。

東混のドレスは、入団時に団から貸与され退団時に返却する、代々先輩方から受け継がれてきている大切なドレスだ。

代々受け継がれている東混のドレス。

私が着ている青いラインの入った上着などはアルトの先輩から受け継いだものである。

入団したはじめの頃に植田先生のアトリエへ挨拶に伺った。
植田先生にご挨拶した時は、同じ側の手足が同時に出るほどカチンコチンに緊張していて天地も定かではなかったが、アトリエの窓から見えた皇居に「東京にもこんなに緑があるんだな」と感動したのは覚えている。

年を経ていく中で体重計を敵対視することもままあるが、受け継がれたドレスを美しく着る努力をしようと思っている。うん。思ってはいる、が、なかなかその努力を実らせるのには苦労している。

青いラインの入った上着。昨年夏のコンサートにて。

5月13日には東混団員募集のオーディションが開催される。アルトとバスのみの募集ではあるが、我こそは!と思う方は是非とも受けに来て欲しい。

さあ!そこのあなたも一緒に白いドレスを着よう!

…と、唐突にヒーローものの雰囲気でボクと握手!ノリをやってみたが、さて。この文章にオチを探して悶々と悩んだが、特に見つからなかった。

これにて今年度衣裳係好田真理の呟きを終わりとする。

タイトル写真:©︎中村紋子

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