指揮科の生活/水戸博之

ブログリレー

#ふぁー#ふぁーそーらーらーそー#ふぁーみーれーれーみー#ふぁー#ふぁーみみー!!

音楽の仕事をしているとは思えない表記で、脳内BGM!失礼しました!

ブログリレー「第九」奏者のご到着!

今回はヤマカズさん、キハラさんに続くサプライズゲスト!

指揮者の水戸博之さんに登場していただきます!

前回の音葉さんに出されたお題は、

学生時代の思い出

ブログ初登場の水戸さんは、どんな学生生活を送ったのでしょうか?

ご覧くださいっ!


指揮者

水戸博之

File9:指揮科の生活

小林音葉さんから頂いたお題は「学生時代の思い出」

なんと簡潔に答える事が難しいテーマ!!

しかしいざ書き始めてみると、当時の事を思い出して、ここの所沈み気味な気持ちがどんどん晴れていきます。

もしかして音葉さんはそこまでを見越してバトンを渡してくれたのでしょうか。。だとするならば、最初ちょっとだけ憎んでしまいごめんなさい(笑)

北海道から上京して、東京音楽大学の指揮科に入学したのが2007年。気づけば東京に来てからもう13年も経ちましたが、大学・大学院で過ごしたあの日々は正に青春そのものでした。

広上先生を始め諸先生方に育てていただいたその当時の事を思い返すと、その殆どは恥ずかしいもので、出来れば全部美化してしまいたいと思うような事ばかりなのですが(笑)、それでも、悩み苦しみ、なぜかいっつも何かに怒りつつ、そして指揮科の仲間たちと一緒に勢いに任せて色んな事をやっていたあの日々は、自分にとって輝かしい時間でした。

言わずもがな、指揮者というのは自分で音を出すことが出来ません。東京音大は、日常のレッスンでもオーケストラを振る機会に多く恵まれていましたが、それでも本番の舞台となると、自分で企画するか、どこかの団体から呼ばれない限りその機会はありませんでした。
そこで、多くの指揮科学生の例にもれず、入学して間も無い全く無知の状態ではありましたが、僕も自分でオーケストラを立ち上げ、演奏会を開く事を決めました。

しかし、言うは易し…ではありませんが、実際やろうとなるとそれは大変な事です。何しろ北海道から出てきて、大学の知り合いは同じ高校から入ったホルンの同級生たった一人だけ。先ずは友達を作らなければなりません。

オーケストラの授業の聴講以外にも、同級生が集まっていそうな吹奏楽や弦楽合奏の授業になるべく顔を出し続け(半ば徘徊?)、どうにか名前を覚えてもらったり、伴奏者が見つからず困っていそうな同級生を見つけて無理矢理レッスンでピアノを弾かせてもらったり等の、地道な行動を重ねながら徐々に知り合いを増やしていき、何とかオーケストラのメンバーを集めるまでに至りました。

しかし、本当に大変なのはここからです。

まず人数分の楽譜の準備をしなければなりません。今のようにネットからダウンロードする事が簡単ではありませんでしたので、全て自分でコピーし、封筒に詰めて一人一人に手渡しです。
その他、練習と本番の会場の手配、練習スケジュールや出欠関係の連絡のやりとり、そしてチラシと本番のプログラムまで作成しなくてはなりません。
まさしく全て「手作り」かつ「手探り」でした。

しかし、それによって、どうにか指揮者として初めて本番の舞台に立つ事が出来ましたし、何より多くの仲間に出会う事が出来ました。いよいよ迎えた本番当日、コンマスと握手をして指揮台に上がった瞬間、お客さんを背にする事がこんなに緊張する事なのかと震えた事を今でも覚えています。

演奏会のチラシ

因みにジンギスフィルというのは、つまりジンギス管(カン)です。以上。

演奏会は毎回大学のホールで行っていました。

同じ頃、一つ上の学年の声楽科の先輩方から誘われて、「ペラプロ」という創作舞台に指揮者として参加するようになりました。

これは自分達で完全オリジナルの台本を作り、その内容に合わせてそれぞれがオペラのアリアや重唱を歌うというオリジナリティ溢れる企画だったのです。
先輩方の創造性(妄想力?)は凄まじく、恋愛モノから学園モノまで様々な台本が作られ、しかもちゃんとそれが曲の内容にピッタリ合っていたのが素晴らしかったです。演出も全て自分達で考えて付けていたこの経験は、それまでオペラについて何も知らなかった自分にとって、歌の世界に徐々にのめり込んで行くきっかけとなりました。


「ペラプロ」メンバーと

その他にも指揮科の中での厳しいレッスン漬けの毎日や、作曲科の友達との共同作業など、様々な思い出がつまった大学・大学院生活。
6年間の最後に、器楽と歌手の仲間達と共に、集大成として自分達の卒業公演に選んだ作品は、J.Strauss Ⅱ世の喜歌劇《こうもり》。念願のオペラでした。

今井伸昭先生に演出をお引き受け頂き、水野賢司先生監修のもと、3ヶ月の稽古期間を経て迎えた本番は、それまでの様々な苦労が全て吹き飛ぶほどの、涙、涙…とは程遠い爆笑の舞台に。
思えば、一人しか知り合いがいなかった入学当初、オペラの公演が出来るだなんて夢にも思っていなかった自分にとって、この終わり方は本当に幸せでした。
唯一、フィナーレに入った瞬間、もういよいよラスト1ページの所になった瞬間、「あぁ終わりたくないなぁ」と思った事だけは覚えています。

こうもり公演のパンフレット
本番直前、メンバーで!

最初にも言いましたが、指揮者は一人では何も出来ません。だからこそ、指揮が出来るという事がいかに幸せな事だろうかと感じます。
ブログテーマの「学生時代の思い出」ですが、僕にとってのそれは、尊敬する先生、そしてかけがえの仲間達と出会えた事、これに尽きるような気がします。
思い出を振り返って浮かぶ光景の全てに先生や仲間の顔が浮かびます。本当に人に恵まれた大学生活で、僕にとっては一生の財産です。なんだか優等生みたいなまとめ方ですが(笑)でも、本当にそう思います。

これからもずっと、人との縁を大切にしていきたいです。

さて、ブログリレー、続いてはソプラノの奥山陽子さんにバトンをお渡しいたします。
テーマは、、そうですねぇ、「ここだけは譲れない、私のこだわり」でいかがでしょう。優しく笑顔の素敵な奥山さんの、普段は見ることの出来ない意外な一面が観れるのでは・・!?期待しています!



水戸さんの、とても充実した学生時代の思い出を知ることができました。

今は全知全能(!?)に見える水戸さんですが、努力あってのものだということが伺えます。そしてその努力と水戸さんの人柄が、魅力ある人を集めるのでしょう…!

たくさんの人が集まって一つのものを作り上げるのは、音楽の素敵な要素ですよね!

さて、次回はソプラノの奥山陽子さん!

北海道から山形へと、雪深いふるさと出身の方が続きます。

ここだけは譲れない、私のこだわり

面白いお話が聞けそうです…!

次回もお楽しみに♪


前回:音葉さんの記事はこちら

次回:奥山さんの記事はこちら

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