「私の東混放浪記」I

卒団メンバー(OB・OG)

バス

德永祐一

東混の演奏会に初めて行ったのは入団が決まった1985年の春、東京文化会館大ホールでの特別演奏会だった。
「なんじゃこりゃ⁉︎」
曲は一柳慧:雪崩のとき
ナゼか “違いのわかる男” がマリンバをぶっ叩いていた。
この合唱団でうたうのか、、、。
頭の上に?が沢山付いたまま1ヶ月後には初の定期演奏会が控えていた。
入団初年度からの定期演奏会には「東混創立30周年作曲委嘱活動シリーズ」と銘打たれ、2年間9回にわたり過去30年分の委嘱作の中から再演と新たに委嘱作初演という壮大なプロジェクトが始まった。
このプロジェクトの事は全て入団後に知ったが全て知らない曲だった。
私にとって全曲が初演だった。
創立以来30年間に及ぶ不屈の努力とこの2年間のシリーズ、そしてその集大成としてのアメリカ公演(8都市)が高く評価され「京都音楽大賞」を受賞した。
ここで敢えてこのシリーズのプログラムをご覧いただきたく列挙したい。

第101回定期
 篠原信  童謡/日本古謡連曲より
 清水脩  台湾ツウオ族の歌
 林 光  原爆小景
 間宮芳生 合唱のためのコンポジション第1番
 柴田南雄 優しき歌 第二

第102回定期
 黛 敏郎 天台声明による 始団唄・散華
 別宮貞雄 北国民謡による パラフレーズ
 入野義郎 東北民謡による 三つの混声合唱
 小山清茂 越後獅子
 林  光 アイヌの歌

第103回定期
 外山雄三  混声合唱のための「歴落」
 芥川也寸志 お天道様、ねこ、プラタナス、ぼく
 林  光  黒い歌
 武満 徹  風の馬

第104回定期
 池辺晋一郎 相聞 I・II
 高橋悠治  道行
 八村義夫  愛の園
 柴田南雄  追分節考

第105回定期
 湯浅譲二 芭蕉の句によるプロジェクション
 團伊玖磨 原體剣舞連
 三善 晃 変化嘆詠

第106回定期
 松村禎三 暁の讃歌
 成田和子 ヴォイシングスペース
 佐藤喜美 霧の遠近法
 一柳 慧 混声合唱のための シンタックス

第107回定期
 末吉保雄 田植草紙
 高橋悠治 クリマトーガニ
 新実徳英 混声合唱のための 悼歌
 菅野由弘 混声合唱のための 風の使者

第108回定期
 三枝成彰 呪文
 細川俊夫 女声合唱のための 夜の呼び声
 一柳 慧 子供の十字軍
 石井眞木 もりのうた

第109回定期
 三善 晃 田園に死す
 柴田南雄 往生絵巻
   東洋民謡集
 間宮芳生  カン ガン スウォルレ
 松村禎三  牧歌
 林  光  三村ぬ姉小達
 池辺晋一郎 アイヌの7つの歌
       ベンガルの舟歌

東混30年史より

如何だろうか。
新しい日本の合唱曲を創るという創立当初の理念を貫き、作曲家たちと共に現代日本の合唱芸術を高めた功績をしっかり辿ることが出来ると思う。
勿論この間には「八月のまつり」をはじめ、地方公演や鑑賞教室とステージに立ち続けた。
入団時に交わした年間240本の契約は最初の2年間で合計500本を軽くオーバーしていた。
時はバブル真っ盛り、夢中で過ぎて行った2年間だった。
気付いたら2期先輩の小野寺さんと結婚していた。

東混30年史より

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