兄尊

テノール

志村一繁

先日、私の敬愛するアニキ「アニソンの帝王」こと、水木一郎さんが亡くなられました。享年74。

普段は筆無精でSNSも全くやっていない私ですが、今回だけはいてもたってもいられず自ら筆をとりました。

ことある毎に「尊敬する歌い手は?」
→水木一郎さん(アニキ)
と言ってきたこと、周りの方々にはよく知られています。
私が音楽家の道を歩むよう背中を押してくれた(と、私が勝手に思っている)のがアニキだったのです。

元々アニメ・アニソンが好きで、そのために音大に進学したことは数年前のブログに書きました。

大学卒業後しばらくは、高校の音楽非常勤講師を勤めながら、東混・二期会等のプロ合唱団にエキストラとして参加する、という両輪で活動していました。

20代なかば、このままでいいのか悩んでいたある年、同郷の先輩であり大学の先輩でもあった方と正月に帰省した際、地元の「レオマワールド」という遊園地に気晴らしに行ったのです。

そこで運命的な出会いをします!

下調べなど全くしていなかったのですが、「新春アニソンコンサート」というイベントをやっていたのです。
その日の出演者に「水木一郎」さんの名前があるではないですか!!

イベント自体は親子を対象にしたほのぼのとしたものだったのですが、アニキが登壇して開口一番、「子供たちゴメンねーー。君たちの知ってる曲は一曲もないからー!」
との雄叫び!

マジンガーZ・バビル2世と続き、客席の一角で異様に盛り上がっている男2人!!
それに気づいたアニキ!

怪傑ズバットを歌いながら我々の隣に来てくださり、マイクをこちらに向けて、客席で一緒に熱唱絶唱したのです。

「君、歌うまいね~」

この一言で私の悩みが吹き飛びました!

そこに深い意味など全くなかったでしょう。
もちろんその後はステージに戻り退場されたので、それ以上の会話はありません。
しかし、私にとってはその一言でじゅうぶんだったのです。
現在にいたるまで歌を生業にしてきたのは、この一言があったからなのです。

ここではお見せできませんが、その時一緒に撮った写真は私の宝物です。

病状については報道で皆さんもご存知だったかと思います。復帰に向けてリハビリをされていたところだっただけに、昨日の報道はしばらく信じられませんでした。
名古屋で公演するVerdi「Requiem」のリハーサル中に知ったので、後半どのように歌ったのかあまり覚えていません。

追悼などと言うつもりではありませんが、アニキに背中を押してもらったこの道で、しっかり恩返しできるように頑張って歌います。

天国のアニキに届くよう、心を込めて歌うゼーーーット!!

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『兄尊』で『アニソン』。

志村さんらしい、熱い想いに溢れたメッセージ。
ブログ係も編集しながらウルっと来てしまいました。

記事にも出てきましたが、
あす12/14、愛知県芸術劇場にて開催予定のヴェルディ「Requiem」公演に、60名の合唱で参加いたします。

山下マエストロ率いるACOの力強い演奏、そして素晴らしいソリストの皆様。
私たちもそれぞれの想いを重ねながら、全力で演奏させていただきます。
どうぞお気軽にお越しください。

ブログ係

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