前世の記憶

旅物語

ソプラノ

稲村麻衣子

東混ファンタスティックブログへのご訪問、ありがとうございます!

正式に入団してから一年ほどが経ちました。ご報告として、これまでの活動と成果を……などというものはコンサート会場や動画配信、はたまたSNS等でご覧いただけているかもしれないので、今回は敢えて別のお話を。

さて、みなさん。
私にはおそらくですが、第六感のような何かが備わっている、と自分では思っています。
突然こんなスピリチュアルなことを言い出して、怪しい奴だとお思いでしょうか。まぁ否定はしません。ですが、宗教的な訴えでもありません。

私は中世、バロック、ルネサンスなど古い時代の音楽を聴いたり演奏するのがとても好きです。
教会でのグレゴリオ聖歌の響き、通奏低音、中でもとりわけ、パイプオルガンの音色を耳にすると、外からの聴覚だけでなく、体の内側からモゾモゾする感情に刺激されてすごく心を揺さぶられます。
なんでしょう…今の言葉で言うならまさに、エモいんです!
オルガンはエモい。空虚五度(※)の響き、バッハの音楽はめっちゃエモい!

※空虚五度について(Wikipediaより)

空虚五度 - Wikipedia

2019年に東混がフランスとモナコに演奏旅行へ行くことになり、当時レジデントメンバーだった私は、旅行日程の中ですでに組まれていた予定を必死に調整し参加いたしました。
なぜなら海外、しかもフランスに歌いに行けるなんて夢のように嬉しい話だったからです。
どうしてか自分でも理由はわからないのですが、以前からフランスがとても好き、というか気になる国でした。
大学でフランス語を学び一通り読めるようになってから歌曲とオペラにどっぷりとはまり、それまで声楽のレッスンではドイツ歌曲やバッハを中心に勉強していたのに、四年生ではフランスもの一色!語感や響きが心地いいし、自分の声に合っているような気がして、率直に歌っていて楽しいと感じました。

そんなフランスへの初めての旅。
成田空港でエールフランスに搭乗するところから帰国後の時差ボケでさえ、何もかもが楽しく充実したものでしたが、最も心を奪われたのは街に点在する教会や大聖堂。さすがカトリックの国です。自由時間に街歩きしながら、いくつか中を覗かせてもらいました。
ナントという街のサン・ピエール・サン・ポール大聖堂では、足を踏み入れるとすぐに厳かな空気に包まれ、何とも言えない気分に。
数十メートルあろうかと思えるほどの高い天井、壁や柱に施された美しい彫刻、色鮮やかなステンドグラス、そして立派なパイプオルガン。おそらく礼拝や特別な時にしか演奏されないのでしょうけど、私が訪れた時にたまたま調整のようなことが行われていて、奏者の方が弾いておられたのです!天井から降り注ぐ音を全身に浴びて、心がギュギュッとなりました。

翌年の夏、放火による火災でオルガンとステンドグラスが焼失したと聞きたいへんショックを受けました

以前からこのエモい現象や感情の正体は何なのかという考えを巡らせながらも、そうなのかもしれないくらいの推察に留まっていたのが、ナントの大聖堂の真ん中で確信へと変わったのです。

―― これは、前世の魂の記憶である。――

はい来た、スピリチュアル。
そういうのって、ひとつくらいありませんか?「好き」という簡単な言葉に収まらないもの。フランス洋菓子店で長くアルバイトしていたから愛着がある、とかじゃないと思うんです。いや確かにそれもありますが、むしろ過去からの縁で必然的にバイト先を選んだのかもしれません。
つまり、私の前世は”17世紀以前のフランスで教会に奉仕する立場にあった者”なのです。きっとね。
ですが、バッハはドイツの音楽家ですからうまく説明がつきません。全く関係ない理由かもしれないし更なる別の前世での繋がりかもしれないけど、でもっ!!
……と、あまり長く語ると(もう十分長い)興醒めですから、続きはまたの機会にいたしましょう。

第六感といえば、暑い夏にぴったりの怪談話もそのひとつですね。
稲川淳二さんが話されるようなコワ〜い体験は数えるほどしかありませんが(あるんかい!)、五感を超えた領域でとらえる”何か”は、音楽表現の上でものすごく役立っているような気がするので、鈍らなければいいなと密かに願っております。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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